1. ホーム
  2. 事例紹介
  3. バリューチェーン横断×グローバル拠点で収益向上を図り企業を変革
成長戦略
業種
電子部品
上場区分
非上場

バリューチェーン横断×グローバル拠点で収益向上を図り企業を変革
国境を越えたものづくり基盤を再構築、人的資産(ヒト)を最大化し持続的な成長企業へと進化

  • KGI/KPI
  • グローバル拠点改革
  • 人材育成
  • 原価企画
  • 原価低減
  • 原価管理
  • 収益向上
  • 標準化
  • 生産性向上
  • 生産技術戦略
  • 組織改革
  • 調達改革

構造改革でリストラを繰り返してきましたが、本質に迫るものづくり変革には至らず、収益悪化が続いていました。また、ものづくりが海外へシフトし、売上が低迷する中で、製品の種類(多品種少量)は増加したため、高原価率の低収益モデルとなって、経営がさらに悪化していきました。そこで、収益向上のための改革として材料費低減、労務費抑制、生産性向上に短期と中期の視点で取り組みました。それと並行して、グローバルで人材育成と組織再編を行い、持続的な改革ができる組織基盤を構築。成長企業へと進化することができました。

プロジェクト概要

取組課題

  • 収益向上
    • 材料費低減
    • 生産性向上
  • 持続的に改革できる仕組みや組織の構築

実施内容

  • 収益向上改革
    • 材料費低減
      • 調達戦略の立案・実行・実現
      • 部品/材料の標準化計画の立案・実行・実現
      • 原価企画の構築・実行・実現
    • 生産性向上
      • 生産技術戦略の立案・実行・実現
      • 内外製戦略の立案・実行・実現
  • 持続的改革可能な組織構築
    • グローバル拠点KPIの策定・実行・実現
    • グローバル組織再編の構築・実行・実現
    • KPI連動の人財評価の仕組みの構築・実行

活動成果

  • PLインパクト
    • 利益率10%向上
    • 材料費率15%低減
    • 労務費率5%低減
  • 持続的に収益を向上させるマネジメントの仕組みを構築
  • 将来を担うミドル層を対象に経営人材を育成

プロジェクトの背景と取組課題

外部環境の影響を受けて業績が低迷したため、対象企業は構造改革を行い、リストラを繰り返してきました。しかし、本質的な全社バリューチェーン横断でものづくり変革をやり遂げられずに、収益悪化が続いていました。

内部環境を見ると、国内における調達や生産オペレーションを海外拠点へとシフトしていたのですが、本社が策定した戦略と各海外拠点でのオペレーションがうまく連動しておらず、最適化されていませんでした。また、売上が低迷する中、顧客の要請により製品の種類が増加していきました(多品種少量生産の傾向へ)。その結果、部品点数が増え、製造も複雑化してしまったのです。アジア生産拠点では人件費が高騰し、収益を圧迫することに。こうして高原価率の低収益モデルとなり、経営がさらに悪化していきました。

対象会社では「〇〇プロジェクト」として数多く改革を実施してきましたが、成果が出たのか、出ていないのかが曖昧でした。しかも、プロジェクトが終了すると、元のオペレーションに戻ってしまい、持続的な活動として定着しません。経営インパクトを創出できずにいる状態でした。「我々の会社はいくら改革をやっても実らない。変革しない組織なんだ」と、現場の士気は落ち込んでいました。
このような背景から、まずは企業変革として抜本的な収益改善を図るため、原価の中で大きな割合を占める材料費の最適化(短期と中長期)や、労務費上昇を抑制するために短期的な人員整理と中長期的な生産性向上に取り組むことにしました。

また、短期的な改革に終始することがないよう、グローバルも含めて全組織横断で、自律的に改革を実行できる仕組み作りや人材育成も開始しました。

プロジェクトの実施内容

IGPIものづくり戦略カンパニーは1stフェーズで材料費を最適化して収益向上を図るための戦略・実行、2ndフェーズで生産性を高めて収益向上を図るための戦略・実行を支援しました。

1stフェーズでは、最初のステップとして、材料費を短期で低減でき、かつ、大きな効果が期待される部品やサプライヤーに絞り込んだ施策を検討し、短期集中で実行しました。同時に、中長期的に材料費を最適化するために、部品・材料のカテゴリー別に戦略を立案しました。中期戦略は2つの方向性で検討しました。1つ目として、部品材料費は設計段階で決定されるため、この段階で部品・材料を標準化することにしました。また、カスタマイズ仕様や少量発注などに応じて多品種化し、単価が上がる傾向にあったため、その抑制も狙いました。2つ目として、場当たり的な相見積もりやお願い交渉をするのではなく、サプライヤーとの「共創・競争」環境を構築するために中長期の調達戦略を立案し、収益改善を図ることにしました。サプライヤー向け施策は段階的にハンズオンで実行を支援しました。

第2ステップでは、量産段階で材料費を最適化するだけではなく、中長期的に新規製品の設計段階から収益をコントロールできるように原価企画の仕組みを構築しました。また、グローバルの各調達部門でも戦略を実行できるように、経営指標と現場施策を連動させて可視化するPDCAの仕組みを入れて、収益面をマネジメント可能な仕組みを構築しました。また、仕組みを作るだけではなく、それを活用しながら、施策を着実に実行・実現できる持続的な調達組織にするため、組織再編や各拠点のマネジメント層・担当者の育成にもハンズオンで実行を支援しました。

第3ステップでは、材料費を除く工場原価も最適化にするために生産性向上策を立案・実行しました。生産性指標として、稼働率、労働生産性などのKPI(重要業績評価指標)をグローバルで統一しました。こうした生産現場のKPI、現場での施策、経営指標などを紐づけて可視化し、PDCAを回す仕組みを構築し、全社的に現場から経営までをつなげてマネジメントすることで、全社の収益目標を達成できるようにハンズオンで実行を支援しました。

2ndフェーズでは、生産段階の改善だけでなく、中長期的に新規製品の工程設計や設備設計段階から原価をコントロールできるように、生産技術戦略を立案しました。将来のコア要素技術を見極め、内外製戦略と合わせて原価管理を行うためにハンズオンで実行を支援しました。

プロジェクトの成果

一連の企業変革の成果は、大きく3つあります。
1つ目は、材料費率と労務費率が適正化され、営業利益率が向上しました。
2つ目は、持続的な収益向上マネジメントの仕組みが構築されました。
3つ目は、仕組みを作るだけでなく、実際に活用して、持続的に収益力を向上させるグローバル組織体制が構築され、将来を担うマネジメント人材が創出できるようになったことです。

事例一覧に戻る