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成長戦略
業種
工作機械
上場区分
未上場

戦略策定から、それを実行するための構造改革・PDCAプロセスの刷新・定着

  • PDCA
  • ものづくり基盤の強化
  • 実行・定着
  • 成長戦略
  • 構造改革
  • 機能ポートフォリオ
  • 祖業からの撤退
  • 組織改革
  • 製品ポートフォリオ

対象会社は過去最高益を叩き出していましたが、利益の90%を占める製品は数年後に市場が縮小し、稼げなくなることが見えていました。その他の製品の利益は低水準もしくはマイナスであり、その中には祖業製品も含まれていました。このため、会社の存続をかけて、新規製品を立ち上げながら、儲からない製品の底上げと撤退を行う必要がありました。ものづくり戦略カンパニーは、成長戦略(製品ポートフォリオ)、それを実現する組織(機能ポートフォリオ)、モニタリングするためにPDCAの仕組みとツールを整備し、定着するまで3年間支援しました。

プロジェクト概要

取組課題

  • 市場環境・競争環境の明確化と戦い方の見直し
  • 製品ポートフォリオの見直しと、戦略を実行するための組織構造の見直し
  • PDCAの仕組み・ツール策定と定着化

実施内容

  • 市場・競争環境調査
  • 自社の強みを勘案した戦い方の再定義
  • 事業ポートフォリオ・成長戦略の策定
  • 祖業から撤退する意思決定
  • 新たな戦略に適合する組織能力・組織構造の再定義
  • 実行計画の策定
  • PDCAの仕組み・ツールの構築

活動成果

  • 成長戦略
  • 事業ポートフォリオ
  • 実行計画
  • 組織体制の抜本的な変更
  • PDCAの仕組み・ツール
  • 祖業からの撤退
  • 営業利益5%アップ(過去最高益水準の継続)

プロジェクトの背景と取組課題

過去最高益だが、市場が縮小してなくなる

当該企業はシェア90%以上で収益性の高い製品Aが絶好調で、利益額・利益率ともに過去最大となる中で、社長から直々にものづくり戦略カンパニーに相談がありました。社長が懸念していたのは、現在は絶好調でも、利益の90%以上を占める製品Aは、数年後にほぼゼロに近い水準になることがほぼ確実なことでした。その他の製品の利益は、低水準かマイナスです。こうした製品は市場投入前、投入直後、祖業製品の3つに分類され、特に祖業製品は数年前から赤字が続いていました。ほかに開発中の製品はほとんどなく、次世代に事業の柱となる候補を仕込めていませんでした。

会社がなくなる危機感(社長の思い)

全製品の収益性を高め、製品Aの市場縮小に備える必要があります。また、新しい製品のタネを用意しておかないと、また同じことが起きてしまいます。

何としても、3年以内にA以外の製品が儲かるようにし、うまくリソースを配分して、新製品も開発していく必要があります。

プロジェクトでの実施内容

市場・競争環境と自社の強みの明確化(苦手なことの明確化)

市場で求められているの機能・性能・サービスと自社のケイパビリティを洗い出し、競合と比較しながら、何をやらないかを明確化し、自社が深く関与するコア事業を定義しました。また、PDCAを回していくうえで、立ち入ってはいけない領域、想定と違ったので軌道修正する領域、我が道を行く領域などを明確にしました。

強みを生かした戦い方と製品ポートフォリオの見直し

上記で明確化した強みから、市場ごとに、技術で差別化する、デリバリー・サービスで差別化するなど、戦い方を決定し、収益モデルを策定しました。その結果を踏まえて、参入すべき市場、拡大すべき市場、撤退する市場を定義しました。

各製品の成長戦略と実行計画策定

製品ごとに、市場で求められる機能・性能・サービスを詳細に定義し、それらのケイパビリティを獲得するために必要な経営リソースの配分を検討します。その後、実行計画を策定し、PDCAを回していくのが通常の流れですが、そう簡単には進まず、当該企業は2つの大きな問題に直面しました。

1つ目が、赤字が継続している祖業から撤退するという意思決定がなかなかできなかったことです。祖業がライフサイクルの終盤に差し掛かって儲からなくなることは、社長を含めてマネジメント層は全員わかっていました。しかし、その会社を象徴する事業であり、30年の実績とブランド力により、営業をかけなくても顧客から受注が入ってくる(つまり、簡単に限界利益が稼げる)状況でした。そのような象徴的な製品をやめてよいのか、簡単に限利が稼げるならいいのではないかという意見が出てきました。

本当に人(固定費)が一切関わっていなければ、そうした理屈も成り立ちますが、工作機械という製品特性上、マイナーな変更や部品の改廃などによるソフト改修は行われ、実際にはそれなりに手間が掛かっていました。その分の人的リソースを、他の製品に振り向けていかないと、戦略の実行は不可能です。罵声が飛び交う打ち合わせを何度も行った末に、ようやく撤退が決まりましたが、関係者にとって決して後味の良いものではありませんでした。

2つ目は、利益責任が不明確な組織だったことです。主要部門である営業、技術、製造のKPI(重要業績評価指標)をそれぞれ見ていくと、営業は売上、技術は開発納期、製造は原価となっていました。つまり、る利益責任を負う部門が存在しなかったのです。

その結果、営業部門は装置本体の値引きやメンテナスサービスを無料にする一方で、マイナーチェンジなどの要求がどんどん増えて開発工数がかかり、結果として営業赤字が膨らんでいました。製造部門は設定されている原価通りに作っていくのですが、「何となく儲からなくなりそうだから、原価を下げてほしい」と営業部門から言われることが多く、一触即発の状態になっていました。

KPIの設定と戦略を実行できる組織の設計・実行

ROIC(投下資本利益率)ツリーを使って、事業として把握すべきKPIを見える化した後、そのKPIを達成するために、組織を設計していきました。ただし、大企業ではないため、最初からエレガントな組織にはなりません。その時点で所属している人材をもとに組織の形を考えていかないと、箱だけを用意することになり、実行しきれないことには注意が必要です。その一方で、将来的な組織のあるべき姿は明確に定めて、そこに至るまでのステップとして、人材育成・採用計画も併せて策定しました。

なお、組織の形として、崩してはいけない部分と人に合わせて設計する部分があります。そのため、作ってはオペレーションを検証する作業を繰り返しました。

PDCAの仕組み・ツールの策定・定着化

KPIと組織設計がある程度見えてきた段階で、PDCAの仕組みを策定しました。ポイントは、従来のマネジメントサイクルにうまく合わせた形にすること。もっと言えば、マネジメントサイクル自体を作り変えていけば、余分な会議体がなくなることです。その後は、エクセルでツールを作成しPDCAを回しながら、使い勝手が良くなるように改修していきました。

戦略の実行

今回のプロジェクトでは、組織変更やPDCAを一気に変えたため、大混乱が起きましたが、それは社長と綿密に計画したうえでの混乱でした。とにかく時間がないため、組織構造もPDCAも早く変えたい。今は儲かっているから体力もある。今のうちに混乱してもいいからやり切りたい、というのが社長の思いでした。少しずつ変えていったら、おそらく組織の慣性が働き、ほとんど変わらないまま、今も当時と同じ議論をしていたことが想像されます。

そうした混乱の中に飛び込んで行って、ハンズオンで3年間支援したのが、このプロジェクトです。当該企業は直近で過去最高益を更新しました。

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