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成長戦略
業種
金融
上場区分
未上場

DXによる地域・企業の競争力可視化、および融資活動による地域振興・活性化
財務・ものづくり情報の形式知化、データベース化の仕組み構築

  • 製造業
  • ポートフォリオ
  • M&A
  • 地域活性化
  • DX
  • 事業戦略
  • 業界再編

融資先企業の財務・資金使途・返済能力などから企業単位で融資活動を推進するだけでなく、製造企業集積地としての地域視点、ものづくり視点も考慮して企業・地域の競争力を可視化・分析し、それを通じて融資方針と活動を立案するものとし、そのための情報収集・活用する仕組みも構築しました。また期待どおりに企業・地域の競争力が向上しているか検証し、その検証結果に基づいてデータドリブン型改善サイクルを回す仕組みを整備しました。将来的には企業や地域の事業活動データをリアルタイムに可視化・分析できるダッシュボードを構築し、AIを活用した傾向分析やリスク予測を行うことで、より精度の高い融資判断と地域産業支援の実現を目指しました。

プロジェクト概要

取組課題

  • ものづくり評価項目の定義と評価の実施
  • 企業や地域のポートフォリオ(財務指標・ものづくり指標)可視化
  • 財務・ものづくり情報利活用のためのデータベース化

実施内容

  • 融資活動の改善プロセス構築
  • 企業・地域の競争力可視化
  • 融資方針と活動具体化
  • 融資効果の検証と融資方針・活動の修正(改善プロセス2周目時)
  • 企業・地域の競争力可視化
  • 財務・ものづくり情報データベース構築
  • ものづくりの評価診断(営業・開発・製造)
  • 市場動向調査(業界・技術・顧客動向など)
  • 企業・地域の競争力優劣の原因分析

活動成果

  • 企業・地域への融資効果の検証を繰り返す、融資活動の改善プロセスの構築・運用
  • AIを活用した傾向分析と、融資判断の精度向上を目指した、財務・ものづくり情報データベースの構築

プロジェクトの背景と取り組み課題

対象地域の企業群は、自動車産業を中心に事業を展開してきましたが、コロナ禍以降の需要変動やEVシフトに伴うOEMの調達構造変化などにより、従来のビジネスモデルが揺らぎつつありました。このため、地域の競争力を見極めるとともに、今後の融資方針や営業活動を強化する必要がありました。特に、事業環境の不確実性が高まる中で、個社ごとの成長余地やリスクを精緻に把握すること、さらに地域産業全体の強みと弱みを体系化することが課題となっていました。これにより、金融機関として融資判断の高度化、支援の方向性明確化が求められていました。

本プロジェクトでの主な取り組み課題としては以下が挙げられます。

個社の競争力分析

財務状況・製造能力・市場環境を多面的に把握し、収益性や事業安定性の評価を通じて将来性を見極める必要がありました。

現場検証による仮説の精緻化

工場見学や社員ヒアリングを通じて、生産性・受注余地・収益拡大策などを実態に即して確認することが求められました。

データ基盤の整備と仕組化

個社・地域の強みやリスクを定量化して業界マップを作成し、営業や融資活動に活用できるOODAループ(観察・状況判断・意思決定・実行)を構築することが課題となりました。

プロジェクトの実施内容

本プロジェクトでは、地域産業全体の競争力を明確化し、金融機関の融資・営業活動の高度化を支援するために多層的なアプローチを取りました。以下に主要な実施内容を整理します。

融資先候補個社の競争力分析

対象企業群について、市場動向・競合状況・財務指標・製造能力を整理し、収益性・事業安定性・ものづくり強み・財務リスクの4軸で定量評価を行いました。これにより、個社の将来性を客観的に比較できる基盤を構築しました。また、分析結果をもとに各社の打ち手方向性を分類し、「維持」「収益改善」「構造改革・統合検討」などのパターンを提示しました。

工場訪問による仮説のブラッシュアップ

代表的な企業を訪問し、現場のQCDS(品質・コスト・納期・安全)の観点で生産能力や改善活動を確認しました。製品の流れや設備状況を直接確認するとともに、現場社員との議論を通じて、受注拡大余地や収益改善施策の実現可能性を検証しました。これにより、机上の分析だけでは見えにくい課題や改善ポイントを抽出し、より精度の高い仮説を構築しました。

財務・ものづくり情報基盤の構築

全社の財務・製造情報を統合したデータベースを整備し、地域業界マップを作成しました。これにより、地域全体の競争力を可視化するとともに、各社の位置付けを明確化しました。また、これらの情報を活用してOODAループ(観察・状況判断・意思決定・実行)を設計し、融資継続・拡大・回収・M&A支援などの意思決定を持続的に行える仕組みを構築しました。特に、翌年度以降も新しい財務データを入力し、論点仮説を更新しながらサイクルを回す運用モデルを策定しました。

この一連のプロセスを通じて、個社レベルの深掘り分析と地域レベルの俯瞰を結び付け、金融機関の融資方針を戦略的に支援できる体制を整備しました。

プロジェクトの成果

本プロジェクトでは、ものづくり戦略カンパニーの多岐にわたるものづくり企業へのハンズオン支援に基づく業界知見と分析力を活かし、以下の成果を達成しました。

  • 個社の財務・返済能力および地域産業全体の競争力可視
  • 企業・地域の強みやリスクを継続的に検証するデータドリブン型改善サイクルの構築、融資判断の高度化と戦略的支援策の立案

将来的には本プロジェクトで構築した情報基盤に対してリアルタイム分析やAIによるリスク予測の導入を見据えており、当該情報基盤のブラッシュアップに取り組んでいます。

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