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成長戦略
業種
産業機械
上場区分
東証一部

企業競争力の強化と収益力の抜本的な改善に向けた中期経営計画を策定
これまでの安定路線から成長路線へと舵を切り、積極投資でものづくり基盤の強化を実現

  • SDGs
  • コア・ノンコア事業の見極め
  • パーパス
  • ものづくり基盤の強化
  • 中期経営計画
  • 事業ポートフォリオの見直し
  • 事業成長投資
  • 実行計画書の作成
  • 組織再編
  • 脱炭素社会

東京証券取引所が2022年に市場区分を再編しましたが、対象会社はプライム市場の上場維持基準を満たせず、株価向上に資する計画を発信し、市場の理解を得ることが急務となっていました。また、これまでは多角化経営を推進していましたが、収益性の低い事業が多く、収益力を抜本的に改善する必要がありました。ものづくり戦略カンパニーは、ものづくり基盤を強化して市況変化に対応し、同社が持続的な成長を実現するための中期経営計画の策定を支援しました。

プロジェクト概要

取組課題

  • 長期成長方針の明確化と事業ポートフォリオの見直し
  • 持続可能な事業にするために足許の稼ぐ力を強化
  • 計画実行を担保する組織体制への転換と仕組みの構築

実施内容

  • 持続的成長の屋台骨となるコア事業の見極め、リソースの再配分
  • 低収益体質から脱却するための生産性向上と投資対象の見極め
  • 新たな戦略に適合する組織能力の再定義
  • 外部連携を含めた新たな組織能力の獲得・強化
  • 生産管理、原価管理や人事制度等の仕組みの構築

活動成果

  • 経営理念の言語化
  • 経営の目標数値/中長期の成長戦略
  • 実行へ向けた計画

プロジェクトの背景と取組課題

対象会社はこれまで中期経営計画の定期的な作成を通じて数値目標を掲げ、ものづくりを通じた企業価値の向上と持続的な成長を目指して、企業競争力の強化と収益力の向上に取り組んできました。

その一方で、足許ではコロナ禍による影響で大幅に需要を落とす事業も出始めており、直近の中期経営計画は未達成に終わりました。加えて、脱炭素社会の進展によって事業環境には大規模な変化が生じており、経営方針の大転換が必要になっていました。そのような状況下で、対象会社は株式市場からの信頼回復を第一の目的に、実行性と戦略性のある新中期経営計画を作成しようと考え、ものづくり戦略カンパニーがそれを支援することになりました。

対象会社はこれまで安定した経営基盤を目指して事業の多角化を推進していましたが、逆に投資対象が分散し、幾つかの事業では競争力が低下していました。新中期経営計画においては、足許の稼ぐ力を強化するために短期施策を取りまとめるのと同時に、中長期目線で事業ポートフォリオを見直し、コア事業とノンコア事業を定義することにより、メリハリの効いた投資でものづくり基盤を強化し、成長路線へと舵を切ることにしました。 

また、これまでの事業の多角化により、組織の複雑化が進み、情報が縦横で分断されて連携が取りにくい構造となっており、実行面でも課題がありました。そこで、各事業部を横断して統括するために、事業軸と機能軸で横串を指す新組織を立ち上げて、実行力の向上を目指しました。

プロジェクトの実施内容

本プロジェクトでは、1stフェーズで計画策定を、2ndフェーズで実行へ向けた準備を支援しました。

1stフェーズで最初に行ったのは、事業環境分析です。ビジネスに影響を与える環境要因を分析し、それと並行して、事業・製品・顧客別の収支の見える化に着手しました。自社の強みや真に収益源となる製品を明らかにし、経営戦略の立案につなげることが目的です。

次のステップは戦略の検討です。前ステップの分析結果をもとに、経営理念(パーパス)を再策定することから入りました。その後、経営理念に基づきながら自社のコア事業とノンコア事業を定義し、持続的な成長を実現するための中長期の経営方針をまとめました。

第3ステップでは改善施策を検討しました。足許の収益改善を目的として、特に全社的に生産性を改善するためのオペレーション改善策を検討しました。工場の人員や設備の生産性改善から、本社・関連子会社のバックオフィス部門の効率化まで、幅広い改善策を取りまとめていきました。また、コア事業の成長へ向けた具体的な投資内容、および、実行に向けた組織再編も行いました。というのも、これまで経営の安定性を高めるために事業を多角化した反作用で組織構造が複雑化し、組織の縦横で情報が分断されやすくなっていたからです。本プロジェクトを通じて、事業軸と機能軸で横串を指す新組織を立ち上げて、実行力を高めました。

2ndフェーズでは、実行に向けた準備を行いました。これまでの検討内容を3ヵ年数値計画(PL・BS・CF)に落とした上で経営の目標数値を定めました。また、主要KPI(EBITDA/ROIC/研究開発費/設備投資等)を定め、会社として継続的にモニタリングしていく仕組みを整えました。最後に、中期経営計画の実現へ向けた各部門のアクション・期限・責任者を明記した実行計画書を作成しました。

プロジェクトの成果

本プロジェクトの中で、経営理念を言語化し、長期ビジョンと具体的な戦略を整理しました。その内容を社内外のステークホルダーと共有することで、成長へ向けた明確なビジョンを提示することができました。経営目標も細分化や数値化されたことで、会社全体や事業部のパフォーマンスと課題を常にモニタリングできるようになり、意思決定の高速化が図られました。

また、各事業部の具体的な実行計画をもとに、中長期の成長に向けたビジョンを啓蒙した結果、社員一人ひとりが経営への参画意識を高め、各種活動に積極的に参加するようになりました。

本プロジェクトを通じて、環境変化に適応可能な経営基盤が整備できました。今後は本プロジェクトで用いた経営改革の手法をベースに、継続的に中期経営計画を更新し、時流に沿った組織再編を進めていくことで、安定的かつ持続的な成長を目指していきます。

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